自分にウソをつき続けた結果
自分で商売を始めると、常に何かの判断を迫られます。そこで何を選ぶかによって、その先の結果は大きく変わってきます。どんな結果であろうと、その責任は全部自分で背負うことになるから間違えたくはないし、失敗したと感じるのは辛いです。
僕も起業して20年以上経ちますが、思い返すと色んな失敗をしてきました。失敗だと感じる中で一番印象的なのは『自分にウソをついていたこと』です。ピンとこない、気乗りしない、心地よくないけど「こうしておいた方が良いと思うから」そうする。そんな判断をした理由は、その場を乱したくないとか、誰かの評価を得たいとか、間違うことが怖いからです。
ある時期の僕は、そんなことを繰り返していました。その頃は常にイライラしてたし、体調もずっと優れないまま。従業員は増えたけど売上が伸びず、人間関係のトラブルがあちこちで起こる。ぜんぜん楽しくないし、生きてる実感みたいなものを全く感じられませんでした。
自分の“快・不快”に従う
イライラやトラブルの原因が何だったのか?今になってはっきりと分かるのは、自分の中に「基準」を持っていなかったからです。当たり前のことですが、自分で起こした商売の旗振りは自分でしなければなりません。でも僕は外側に基準を持とうとしていました。「誰かが認めてくれそうだから」「世間一般ではそう言われてるから」そうする。
では、どうやって自分の中に「基準」を持てばいいのか?僕は自分が感じる「快・不快」に従うようにしました。やりたいと感じること、気持ちが昂ってくること。頭で考え込む前に、身体から湧き上がってくる感覚に従う。気乗りしないことは極力やらない。ここだけ切り取ると無責任な印象を受けるかもしれませんが、僕があの状況を打破できたのは、そんな風に基準を設けたからだと感じています。
まずは自分に対して誠実に
もちろん、無責任な態度でいいという訳ではありませんし、日常の中では苦手なことにも取り組む必要があります。大切なのは「自分に正直でいる」というスタンスだと思います。その意思が商売での誠実さにもつながり、結果として顧客の満足感や自分の充実感も高まります。
思い返すと、何となく身体に染みついた感覚の影響で「公の場では自分を抑えなくてはいけない」みたいな思い込みを持っていたような気がします。そんな風に振る舞うのが人として美しいと思ってましたが、自分に対しては不誠実です。まずは自分に対して誠実に、正直であること。これからも自分の中から生まれてくる感覚を大切にしながら日々の活動を楽しんでいきたいと思っています。